■リアルトレード動画 Part2

 

テーマ:損切りが多ければ多いほどデイトレードは“成功”する!

 
 

■補講

 

息ができない・・・

 
ときは、1994年。
 
私は、証券会社のディーリングルームで
いつも通り、取引を行っていました。

ここ最近急騰している、ある銘柄に
大量のポジションを持つために、
目の前の端末に表れる“板情報”を凝視し、
そのタイミングを見極めようとしていました。

株価は、私が考えていた価格まで下がってきたため、
3万株ずつ、3回に分けて買いエントリーしました。

自分の読みは、ドンピシャで的中し、
エントリー直後、株価はスピードを上げ上昇していきます。

含み益が、400万円ほど出ている状態で、
午前の取引は終了します。

「今日のノルマは達成だな・・・笑」
 
安堵感を感じながら、昼食を取り午後の取引に向かいました・・・。

ここで市場に異変が起こります。

ボクが取った、9万株のポジションの銘柄が、午後の寄付き前の板情報では、
 
「買いが消えてしまった・・・」のです。

一瞬、顔が青ざめ、心臓の鼓動が大きくなるのを感じました。

午後に利益を確定しようと思っていたのですが、
含み益はすべて吹っ飛んでいたのです。

完全に頭は“フリーズ状態”に陥り、
手足から“血の気”が引いていくのが分かりました。

そして、言い知れない“恐怖感”に襲われていくのでした。

こうなった以上、我々のルール上、
持っているポジションをすべて投げなければなりません。

しかし、私は事を正確に理解することができないでいたのです。

午後の取引が始まって、20分が経過しましたが、
株価は、「売り気配」のまま値段が付かない状態にありました。

午前中、400万円だった含み益は、すでに、
300万円以上の含み損を抱えることになっていたのです。

そして、この時点でようやく約定し午後の寄り付き後、
株価は上昇に転じます。

ようやくボクは、精神的に正常を取戻しました。
 
少しでも損失をカバーしようと、
株価が戻しているところで、もう1万株追加の買い注文を入れます。

しかしその直後、自分の目を疑う事態になります。

株価は買いを入れた直後に、
大量の売り物を浴び、再び「売り気配」になりました。

10万株のポジションの含み損は、
600万円を超えてしまいます。

「息ができない・・・」

ボクは再度、錯乱状態に陥ります。
 
結局、株価は“ストップ安売り気配”
取引を終了することになったのです。
 
 

なぜ、みんな“損切り”できないのか・・・

 
今の話しは、ボクが証券ディーラーになって、
2か月が過ぎたころに実際にあったお話です。

このときボクは、2つの致命的な失敗をしています。

なにか分かりますか・・・?

ひとつは、
 
・午後の寄付きで、ポジションを解消しなかったこと。
 
そしてもうひとつは、
 
・損失を少しでも軽減させようとして
 買いポジションを追加しようとしたこと。


ひとつめの
「午後の寄付きで、ポジションを解消しなかったこと。」
については、完全に社内ルールを無視した行動です。

さっきまで含み益があったのに、
瞬時に含み損になったことを心理的に
受け入れることができなかったのが原因です。

そして、ふたつめの、
 
「損失を少しでも軽減させようとして
買いポジションを追加しようとしたこと。」

については、これはやってはいけない行為です。

長期のポジションを持つトレーダーなら
許されるでしょうが、デイトレードでは、絶対に許されません。

なぜなら、残り時間が少なくなっており、
時間がなくなればなくなるほど、打てる手段がなくなるからです。

運よく、追加買いをして、株価が上昇に
転じて含み損がカバーできたとしても、
上司に認められることはありません。

そもそも、やってはいけないことだからです。

デイトレードでは厳格なポジション管理”が
絶対なのです。

昨今、「損切りをしなければならない」という認識が、
以前に比べて広まっています。

しかしながら現実には、
なかなか「損切ができない」人が、
圧倒的多数を占めています。

なぜ、多くの人は「損切り」をためらうのでしょうか??

それは心理的に“お金を失う恐怖”から
損切り”を、ためらってしまうからです。
 
 

結局、損切りをした方が、儲かるようになっています。

 
先ほどの、ボクの例でもわかるように、
寄付きで損切りをしておけば、傷は浅かったということです。

傷が浅いということは、
次の“勝ち”でカバーできるということです。

おそらく一般のひとには、
この辺の感覚が備わっていないのだと思います。

なので・・・

「損切り=お金が無くなる」
 
という図式にハマってしまう。

しかし、現実にはそんなことにはなりません。

それどころか、極力、傷の浅い損失に
留めておけば、自然と資金は増えていくのです。

デイトレードでは、プロでも、
アマでも勝率はそれほど大差がありません。

結局は“大数の法則”に支配されるので、
勝率は、50%前後で落ち着きます。

では、プロとアマとの違いは、いったい何だと思いますか??

それは、先ほどから言っているように、

「ポジション管理の厳格化」です。

つまり、

・プロは、小さい負けで終わらせ
・アマチュアは、大きな損で負けている。

こういうことです。

分かりやすく言えば、1年間の収支として

・プロは、5000万円損して、1億円儲ける。
・アマチュアは、1億円損して、5000万円儲ける。

結局、プロは、5000万円の利益となり
アマチュアは、5000万円の損失になるのです。

おそらく、損失計上の回数は、
アマチュアより、プロの方が多いはずです。

損失回数が多いということは、
資産が増えていかなければできないからです。

事実、ボクも日々、デイトレードをしていますが、
自分のイメージと違えば、躊躇なく、損切りを実行します。

結果は、資金はずっと増え続けています。

みなさん、これだけは絶対に忘れないでください!
 
デイトレードは、売買技術以上に、
資金管理、ポジション管理が重要だということを。

逆に言えば、売買技術は多少ヘタでも、
資金管理、ポジション管理が上手くいけば、
そのデイトレードは、限りなく成功するのです。


紫垣英昭